ハリー・ポッターと謎のプリンス-HarryPotterandtheHalf-Bl.epub

第１章 むこうの大臣 The Other Minister 第２章 スピナーズ・エンド Spinner's End 第３章 遺志と意思 Will and Won't 第４章 ホラス・スラグホーン Horace Slughorn 第５章 ヌラーがべっとり An Excess of Phlegm 第６章 ドラコ・マルフォイの回り道 Draco's Detour 第７章 ナメクジ・クラブ 第８章 勝ち誇るスネイプ 第９章 謎のプリンス 第 10 章 ゴーントの家 第 11 章 ハーマイオニーの配慮 第 12 章 シルバーとオパール 第 13 章 リドルの謎 まもなく夜中の十二時になろうとしていた。 しつ 執 む 務 しつ 室 にひとり座り、首相は長ったらしい文書 に目を通していたが、内容はさっぱり頭に残らないまま すどお 素通 りしていた。さる えんごく 遠国 の元首から かかってくるはずの電話を待っているところなのだが、いったい、いつになったら電話をよこす つもりなのかと いぶか 訝 ってみたり、やたら長くて やっかい 厄介 だったこの一週間の、 ふ 不 ゆ 愉 かい 快 な記憶の数々を 頭の すみ 隅 に追いやるのに せい 精 いっ 一 ぱい 杯 で、ほかにはほとんど何も頭に入ってこなかった。 開いたページの活字に集中しようとすればするほど、首相の目には、 せいてき 政敵 の一人がほくそ え 笑 んでいる顔がありありと浮かんでくるのだった。今日も今日とて、この政敵 どの 殿 はニュースに登 場し、この一週間に起こった恐ろしい出来事を、（まるで きずぐち 傷口 に塩を ぬ 塗 るかのように）いちい ちあげつらったばかりか、どれもこれもが政府のせいだとぶち上げてくださった。 何のかのと ひなん 非難 されたことを思い出すだけで、首相の みゃく 脈 はく 拍 は早くなった。連中の言うことと きたら、フェアじゃないし しんじつ 真実 でもない。あの橋が落ちたことだって、まさか、政府がそれを そ 阻 し 止 できたとでも言うつもりなのか。政府が きょう 橋 りょう 梁 に十分な金をかけていないなどと言うやつの つら 面 が見たい。あの橋はまだ十年と た 経 っていないし、なぜそれがまっ二つに お 折 れて、十数台の車 が下の深い川に落ちたのか、最高の せん 専 もん 門 か 家 でさえ説明のしようがないのだ。 そ......