《文句の付けようがないラブコメ》

この本は縦書きでレイアウトされています。 また、ご覧になる機種により、表示の差が認められることがあります。 Contents 序 章 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 終 章 ダッシュエックス文庫DIGITAL 文句の付けようがないラブコメ 鈴木大輔 ――かくして世界は作り替えられました。 序 章 「 はじ 初めまして。わたしが かみ 神だ」 は 葉 まき 巻をくゆらせながらその少女は言った。 ひざ 膝に の 乗せた本へ し 視 せん 線を落としたまま。 きり 桐 しま 島ユウキには目もくれず に。 「名を か 神 なる 鳴 ざわ 沢セカイという」 くちびるから し 紫 えん 煙を は 吐き、少女は本のページをめくる。 「知ってのとおり、今日から き 貴 でん 殿はわたしのものだ」 美しい少女だった。 それも現実 ばな 離れして美しい。 銀色の かみ 髪に赤い ひとみ 瞳。 まと 纏っているのは ちよう 超 ぜん 然たる空気。 これが桐島ユウキの〝神〟。 せ 世 かい 界でただひとり、千年にもわたって世界を すく 救い つづ 続けているという じん 人 がい 外の そん 存 ざい 在。 桐島ユウキがこれから生け贄として捧げられる相手 ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ 。 「気に入らなければ とう 逃 ぼう 亡を図るもよし。いっそ みずか 自ら いのち 命を た 絶つのもいい だろう」 少女は れい 冷 しよう 笑して、 「ただしいずれの場合も、貴殿の いち 一 ぞく 族 ろう 郎 とう 党、 きゆう 九 ぞく 族にまで るい 累が およ 及ぶこ とを わす 忘れぬよう。〝 ささ 捧げ物〟としての やく 役 わり 割は、 つ 九 く 十 も 九 き 機 かん 関によって えら 選 ばれた貴殿にしか つと 務められぬのだから」 びゅう、と風が まど 窓を たた 叩いた。 ......